院長のブログ
You Are What You Eat?ー食べ物と炎症性腸疾患のリスクについてー
ちょっと大げさに感じるタイトルのついておりました,Journal of Crohn's and Colitis, 2022, 16, 1185-1186からのお話です.
以前ブログでも「食べ物と潰瘍性大腸炎・クローン病について(2020.10.22)」の題名で説明しておりますが,これは炎症性腸疾患の患者様の食事についてのガイダンスを述べたものです.
今回のお話は,食事によって病気になるリスクが高まるかどうか?といったお話になります.
本邦で潰瘍性大腸炎やクローン病の患者数が増加している理由に食の欧米化が注目されています.「Western diet」とは具体的には動物性のタンパク質,飽和脂肪酸,甘味料や調味料の多用,加工肉,スナック類,清涼飲料水などの摂取過多,そして野菜・果物の摂取不足(上記論文より引用して意訳)だそうですが,そのなかで,red meat(赤肉:牛肉,豚肉など)の消費が多いことと潰瘍性大腸炎の発症リスクの増加,果物と野菜の摂取が多いこととクローン病発症リスクの減少,が過去の研究などから示されているというものでした.
「Western diet (赤肉や加工肉,精製された砂糖,飽和脂肪酸)」は腸内細菌叢や腸粘膜のバリア機能の変化をきたして腸粘膜の免疫担当細胞のバランスを崩す可能性があって,最終的に粘膜の炎症を引き起こすということが考えられています.
医食同源,といったところでしょうか.