こんなお悩みありませんか?
- 腹痛が続いている
- 下痢が治まらない
- 体重が減ってきた
- 発熱がある
- 肛門に痛みや腫れがある
- 血便が出ることがある
- クローン病と診断された
このような症状がある方は、お気軽にご相談ください。
クローン病(CROHN'S DISEASE)とは
クローン病は、消化管の粘膜に原因不明の炎症や潰瘍が生じる疾患です。
潰瘍性大腸炎の病変はほとんど大腸に限られますが、クローン病は小腸や大腸に発生しやすいものの、口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が起こる可能性があります。
免疫システムの異常によって引き起こされると考えられていますが、正確な原因は分かっておらず、根治的な治療法はまだ見つかっていません。厚生労働省から難病に指定されている病気です。
症状が落ち着いている時期(寛解期)と症状が出る時期(活動期)を繰り返すのが特徴で、長期寛解を保つことが治療の目標となります。
この「クローン」という病名は、この病気を最初に報告したアメリカの医師の名前にちなんで名づけられました。
患者数と発症年齢
日本における患者数は4万人を超えています。発症時年齢は10〜20代が最も多く、若年者に起こりやすいのが特徴です。男性は20〜24歳、女性では15〜19歳の発症が多く、男女比は2:1で男性が多い疾患です。
発症原因
正確な原因はまだ分かっていませんが、遺伝的素因、食事や喫煙などの環境因子などさまざまな要素が背景として関わり、免疫異常が引き起こされると考えられています。
クローン病の主な症状
初期の自覚症状
腹痛と下痢が主な初期症状で、半数以上の患者さまにみられます。さらに発熱や体重減少、貧血などの症状が起きることもあります。
腹痛は炎症が起こりやすい大腸と小腸の境目付近に当たる右下腹部に多く発生します。なお、潰瘍性大腸炎で多くみられる血便は、クローン病ではあまり多くみられません。
合併症
クローン病では、次のような合併症が起きる可能性があります。
瘻孔(ろうこう)
腸と膀胱や腸の異なった部分がつながる「内瘻」と、腸と皮膚がつながる「外瘻」があります。
狭窄(きょうさく)
瘢痕が残ることで腸内が狭まります。悪化すると閉塞を起こす場合もあります。
肛門病変
肛門の皮膚の裂傷や肛門膿瘍、痔瘻などが起きることがあります。
穿孔(せんこう)
腸壁を貫通する深い潰瘍により、腸に穴が開くことがあります。
膿瘍(のうよう)
組織の隙間に膿が貯まることがあります。
上記の他、まれに大量の出血や小腸がん、大腸がん、肛門がんなどが発生することもあります。
クローン病の検査と診断
主な検査
血液検査
炎症の有無や貧血の有無、栄養状態を確認します
便検査
便に血液が混じっていないかを検査します
内視鏡検査
大腸から小腸の回腸末端部までの粘膜を確認し、瘻孔や狭窄、潰瘍などの有無や位置を確認します。また、胃・十二指腸内視鏡検査も実施されます
X線造影検査
造影剤を使用し、消化管全体の病変の位置や広がりを確認します
CT・MRI検査
必要に応じて提携医療機関にご紹介させていただき実施します
診断の流れ
若年者に腹痛や下痢、全身倦怠感が慢性的にみられ、感染性腸炎などの類似疾患を除外できるケースでは、クローン病を疑います。
薬の服用歴や海外への渡航歴、既往歴などを確認し、各種検査を実施して診断をおこないます。
病型分類
炎症の範囲によって、4つに分類
| 小腸型 | 小腸のみに病変 |
|---|---|
| 大腸型 | 大腸のみに病変 |
| 小腸大腸型 | 小腸と大腸に病変 |
| 上部病変 | 空腸のみに病変 |
重症度の評価
活動期の臨床的重症度は、さまざまな臨床項目に関するデータを集計して軽症・中等症・重症と判定するCDAIスコアや、寛解期か活動期かだけを判定する、より簡単なIOIBDスコアがあります。
CDAIスコア
CDAI(Crohn’s Disease Activity Index)は、過去1週間の腹痛や下痢などの症状や、合併症の数などを点数化します。CDAIはスコアを求めるのに1週間連続のデータが必要であり、計算式が複雑なため、おもに臨床研究でよく使用されます。
【臨床的重症度による分類】
| 重症度 | CDAIスコア | 合併症 | 炎症(CRP値) | 治療反応 |
|---|---|---|---|---|
| 軽症 | 150〜220 | なし | わずかな上昇 | – |
| 中等症 | 220〜450 | 明らかな腸閉塞などなし | 明らかな上昇 | 軽症治療に反応しない |
| 重症 | 450超 | 腸閉塞、膿瘍など | 高度上昇 | 治療反応不良 |
※表は左右にスクロールして確認することができます。
※CDAI:Crohn’s disease activity index
出典:令和5年度 改訂版(令和6年3月31日)潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針〔厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)令和5年度分担研究報告書〕, 4-8, 2024.
IOIBDスコア
IOIBD(International Organization for the study of Inflammatory Bowel Disease)は、クローン病の活動性を判断するスコアです。10項目のそれぞれに当てはまれば1点、当てはまらなければ0点とします。2点以上であれば活動性つまり医療助成の対象となり、1点以下であれば寛解と判断できます。IOIBDは簡単なため日常診療で使用するのに便利です。
- 腹痛
- 1日6回以上の下痢または粘血便
- 肛門部病変
- 瘻孔(炎症で腸管に穴が空き、近くの臓器とつながってしまった状態)
- その他の合併症
- 腹部腫瘤(腹部を触ったとき、こぶのようなものがある)
- 体重減少
- 38℃以上の発熱
- 腹部圧痛(腹部を押したときに痛みがでる)
- 10g/dL以下のヘモグロビン(貧血)
重症度分類の活用法
クローン病には、症状の悪い時期(活動期)とよい時期(寛解期)のくり返しがあり、重症度分類スコア(CDAI、IOIBD)を活用しながら、そのときの症状の勢いや再燃の有無を判断し、早め早めの対応をすることが合併症発症の抑制につながります。
クローン病の治療
潰瘍性大腸炎と比べ、クローン病の炎症は腸壁の奥深くまでおよびやすく、腸管の合併症を起こしやすい傾向があります。また、手術が必要となることも比較的少なくありません。
治療の目標
活動期
炎症をなくし寛解を目指します(寛解導入療法)
寛解期
長期間にわたって寛解を維持させます(寛解維持療法)
治療方法
栄養療法
腸管を刺激しないために低脂肪・低残渣の食事が求められます。鼻からチューブを通して直接腸に栄養剤を注入する栄養療法が中心ですが、時に血管から栄養を注入することもあります。
薬物治療
主に5-アミノサリチル酸製薬や免疫調節薬、ステロイド、生物学的製剤などが用いられます。
血球成分除去療法
血液中から免疫細胞を取り除く治療法です。
外科治療
合併症の発症などに対しては手術を実施します。手術による腸管への影響を最小限にするため、切除範囲は小規模にとどめることが多いです。
クローン病の食事について
クローン病の治療中は、食事に気を配ることが大切です。ただし、自己判断で食事を控えると栄養不良の原因になりますので、主治医や管理栄養士と相談しながら、病気の状態(寛解期または活動期)や病変の範囲に応じた食事内容を決めていきましょう。
避けた方がよい食品
消化管に炎症がある場合には、次の食品を避けることが有用です。
- 脂肪分や油分の多い食品(揚げ物、脂身の多い肉など)
- 消化されにくい繊維質(硬い野菜、海藻など)
- 香辛料などの刺激物
- アルコール類
おすすめの食事(米国消化器病学会のガイダンスより)
地中海食を中心に
次の食品を中心とした食事が推奨されています。
- 新鮮な果物、野菜
- オリーブオイル
- 複合炭水化物(ごはん、パン、麺類など)
一方で、超加工食品(インスタント食品、スナック菓子、炭酸ジュースなど)は控えましょう。
赤肉・加工肉は控えめに
牛肉などの赤肉やハム・ソーセージなどの加工肉は控えることが推奨されています。
腸が狭くなっている方は調理法を工夫
腸に狭窄(狭くなっている部分)がある方は、次のような工夫をしましょう。
- 食物繊維を柔らかく調理する(煮る、蒸すなど)
- 食材を細かく刻む
- よく噛んで食べる
- 果物の皮はむいて食べる(リンゴなど)
栄養療法が重要です
クローン病の方には、特に栄養療法(エレンタール®など)が強く推奨されています。
目標
1日摂取カロリーの50%以上を栄養療法で補うことが理想的ですが、少なくとも25%は栄養療法で補いましょう。
具体例
1日2400kcalを摂取する場合
エレンタール®を2本以上毎日飲むことが推奨されます
(エレンタール®1本=約300kcal、8本で2400kcal)
大切なこと
食事内容は、病気の状態によって変わります。自己判断せず、必ず主治医や管理栄養士に相談しながら進めましょう。
クローン病の患者さまへ
クローン病は、定期的な受診と検査を続けることで、病状をしっかりとコントロールし、快適な日常生活を送ることができます。しかし、長期にわたる治療が必要なため、医師や医療スタッフとの信頼関係が大切な病気です。
症状や治療に関する疑問や不安があれば、ご遠慮なくお気軽にご相談ください。いのうえ消化器クリニックでは、患者さまのお話をしっかりとお聞きし、長期にわたってしっかりとサポートさせていただきます。




