院長のブログ

腸内細菌と炎症性腸疾患

2026.04.30

潰瘍性大腸炎・クローン病の発症や難治化と腸内環境,とくに腸内細菌の関係については誰も気になるところではないでしょうか?食べ物と腸の健康,食べ物と腸内細菌とくれば,腸内細菌と腸の健康の関係も知りたいですよね.

炎症性腸疾患の患者様の腸内細菌を調べた報告は数多くありますが,発症時の腸内細菌を詳しく調査した報告は多くはありません.腸内細菌は炎症性腸疾患の発症に関与するのか,それとも経過中に腸内細菌が変化するのか,どちらなんでしょうか?それともどちらもそうなんでしょうか?

炎症性腸疾患の発症時の腸内細菌について,既報の複数の論文をまとめて調査した報告がGastroenterologyから発表されました(Gastroenterology 2026; 170: 539-556).36個の研究報告を統一された解析手順で再解析したものです.これによりますと,疾患の発症時,すでに潰瘍性大腸炎の患者様もクローン病の患者様も健康な対象者に比べてすでに腸内細菌の多様性は明らかに減少しており,腸内の健康に寄与するとされる嫌気性菌が減少し,反対に好気性菌や通性嫌気性菌(酸素の好きなばい菌ちゃんで,健康な大腸には少ないとされます)が増えていたそうです.中でも,フソバクテリウム(歯周病菌で大腸がんとの関連も報告されています)をはじめとする口腔内細菌が腸内で増えていたそうです.

健康な腸は短鎖脂肪酸(お酢とその仲間)を産生する嫌気性菌が多く,生み出された短鎖脂肪酸を我々(僕たちの腸の細胞)がエネルギーとして頂いております.その際に酸素を消費するので健康な腸内は酸素が乏しくなり,嫌気性菌(酸素を嫌う)が多くなるのです.ただ,本研究の結果の意味するところを理解することは本当に難しく,考察では,短鎖脂肪酸を産生する嫌気性菌は確かに潰瘍性大腸炎・クローン病の発症時に減ってるけど,ほかにもたくさん短鎖脂肪酸を生み出す細菌はあるしねー(だから本当に関係しているか不明)とか,口腔内は確かに炎症性腸疾患の病気に関わる細菌の保菌場所にはなってるけど,どういうメカニズムで口腔内から腸に移動すのか?定着するのか?など将来の研究を待ちましょうー(だから,当然ですが徹底的に歯磨きしたらいい!みたいな短絡的な結果にはならないと思います)というような穏やかな論調になっています.

また,皆様の興味を頂けるような報告があれば,ご紹介したいと思っております.

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