ピロリ菌検査・除去について
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ=Helicobacter pylori)は、胃の粘膜を覆う粘液の中に生息する細菌です。
感染すると、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの疾患を引き起こすリスクが高まります。
WHO (世界保健機構) の外部機関IARC が「ピロリ菌は胃がんの原因である」という報告をしたように、日本人に多い胃がんとははっきりとした因果関係があることが分かっています。
胃がんの予防のためにも、ピロリ菌の検査、必要に応じた除菌治療を行うことが有効です。
ピロリ菌検査と除菌
ピロリ菌検査とその除菌は、以下の場合には保険が適用されます。
胃・十二指腸潰瘍の経験がある方、再発を繰り返す方
慢性的な胃炎の方
胃MALTリンパ腫の方
免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)の方
早期胃がんの内視鏡治療を受けた方
ピロリ菌検査の方法
内視鏡を用いて行う「迅速ウレアーゼ試験」「鏡検法」「培養法」と、内視鏡を用いない「抗体測定」、「尿素呼気試験」、「便中抗原測定」があります。
迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が保有する酵素によって作られるアンモニアの量を測定し、ピロリ菌の有無を確認します。
鏡検法
採取した組織を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の有無を確認します。
培養法
採取した組織を培養し、ピロリ菌の有無を確認します。
抗体測定
血液・尿から、ピロリ菌に対する抗体をチェックし、ピロリ菌の感染を確認します。
尿素呼気試験
検査用の薬を服用後、呼気を調べ、ピロリ菌の感染を確認します。
便中抗原測定
採取した便から、ピロリ菌抗原(抗体をつくる物質)があるかどうかを確認します。
ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌は、お薬により除菌することができます。
胃酸の分泌を抑えるお薬と、抗菌薬を使用します。
ピロリ菌の除菌は、胃がんをはじめとする胃・十二指腸疾患の予防に効果があります。ただご注意していただきたいのが、ピロリ菌を除菌したからといって、胃がんにならない、その他の胃・十二指腸疾患の病気にならないわけではない、という点です。除菌によってリスクは減少しますが、定期的な胃カメラ検査は必要です。
検査から除菌治療の流れ
ピロリ菌検査
内視鏡を用いて行う「迅速ウレアーゼ試験」「鏡検法」「培養法」と、内視鏡を用いない「抗体測定」、「尿素呼気試験」、「便中抗原測定」のうちのいずれかの検査により、ピロリ菌の感染を確認します。
除菌治療(一次)
ピロリ菌検査で陽性反応が出れば、除菌治療へと進みます。
胃酸の分泌を抑えるお薬を1種類、抗菌薬を2種類、計3種類を1日2回、7日間継続して服用していただきます。
除菌判定
除菌治療(一次)後、4週間以上経過してから、除菌ができたかどうかを確認する検査を行います。除菌ができていれば、治療は終了です。
除菌治療(二次)
除菌ができていない場合には、抗菌薬2種類のうち1種類を別の薬に替えて、再び7日間の除菌治療を行います。
除菌治療の注意点
医師から指示を受けた服用方法は、必ず守るようにしてください。ご自身の判断で回数や量を増減させたり、服用を中止したりすると、耐性を持ったピロリ菌が現れることがあります。
除菌治療が成功しても、胃がんや胃・十二指腸疾患を完全に予防できるわけではありません。除菌後も、定期的に胃カメラ検査を受け、これらの病気を予防しましょう。