院長のブログ
ピロリ菌除菌と胃がんの抑制効果について
現在,本邦では1年の間におよそ12万人が胃がんと新たに診断され,残念ながら4万人がお亡くなりになっています(がん情報サービスより).
胃がんはがん罹患数,死亡数がともに3位であり,検診や内視鏡検査が盛んに行われるようになった現在でも依然として十分に注意すべき疾患であることにかわりはありません.
胃がんの原因のひとつが「ヘリコバクター・ピロリ菌」であることはすでに広く知られた事実であるのですが,除菌(胃薬と抗生物質を1週間内服します)することによって実際にどのくらい胃がんを予防することができるかといった興味ある研究結果がGastroenterologyより報告されました(下図:Gastroenterology 2022; 163: 154-162).
この報告によりますと,除菌することにより,除菌後およそ26年間の間で63%も胃がんの発生率が減少するということでした!!
しかし,すでに胃炎が進んだ状態では抑制効果は乏しく,これについては今後の課題となっているとのことです・・・
胃炎が進む前,つまりより早期にピロリ菌がいるかどうか調べて,除菌を行うことが重要となりますね.
ABC検診(採血にて胃炎の程度とピロリ感染をチェック)や内視鏡検査を積極的に,かつ早めに受けて胃がんを予防しましょう.
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暑い日々が続きますね.脱水などに注意してお過ごしください.