新型コロナウイルス感染症(以下，コロナ)，本当に早く収束してほしいです．

当院では潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の患者様が多く通院されておられます．生物学的製剤や免疫調節薬といった免疫に作用するお薬を使用している方も少なくなく，当初は本当にびくびくしたものです．患者様にも感染予防に努めるように何度も説明した記憶がございます．

最近，本邦から炎症性腸疾患とコロナの関係について明らかにした論文が発表されました(J Gastroenterol 2022)．これによりますと・・・

・炎症性腸疾患患者様のコロナ罹患率は，一般人の罹患率よりも低い(意外！でもよかった！安心！）

・お薬はステロイドの使用がコロナの重症化に関係する．その他は，高齢と肥満が危険．

との結果でした(ざっくりですが)．もともと炎症性腸疾患の患者様は普段から感染に気をつけており(素晴らしい！），生物学的製剤の使用はコロナ感染の重症化に対してはむしろそれを抑制する可能性もあることが同論文で考察されています．

また，これは他の論文(Aliment Pharmacol Ther 2020)ですが，炎症性腸疾患の患者様の血中には，コロナウイルスが好むACE2という酵素が多く認められおり，それらがデコイ「おとり」となってコロナウイルスをおびき寄せ，結果として炎症性腸疾患の方をコロナから守ってくれている可能性があると報告されています．

いずれにしても安心な報告です．