小学生の間では最近「はたらく細胞」が流行っているらしいです.私の娘も「はたらく細胞」が大好きで,その影響か,先日夕食時に突然「よく噛んでご飯を食べると腸内細菌にどういう影響があるのか?」という質問を受けました.その場で答えられず💦,調べていると大変興味深い論文が2022年のScientific Reportsより報告されていました.日本の研究者の方々です(Sci Rep. 2022 Aug 15;12(1):13819).
マウスを普通の餌(かたいペレット)と粉にした餌(パウダー状のもの)を与える2群にわけて,排便状態,腸内細菌,盲腸の短鎖脂肪酸とその受容体を調べた研究でした.結果はパウダー状の餌を与えた群では腸の運動が悪くなり,排便回数が減少し,便が硬くなって好中球という白血球による腸の軽度の炎症がみられるようになっていました.また腸内細菌については盲腸で短鎖脂肪酸の産生に関わる細菌群が減少しており短鎖脂肪酸の受容体もパウダー状の餌を与えた群で減少していました.そしてパウダー状の餌を与えた群に見られた便秘のような症状は短鎖脂肪酸を投与したり,好中球による炎症を阻害するといずれも改善が認められました.つまり,パウダー状の餌を長期間食べる(つまり咀嚼回数が減少する)と→腸内細菌が変化して盲腸内に短鎖脂肪酸の減少・短鎖脂肪酸の受容体の減少→好中球の遊走と活性化に伴う軽度の炎症が起きて→結果,腸の運動の低下,水分の再吸収の増加などが行って→便秘になってしまう.とのことでした.
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昨日は娘と「はたらく細胞」の映画を見に行き私も勉強させて頂きました!ヘルパーT細胞がクールで格好良かったなあ~.