泉大津市のいのうえ消化器内科クリニック

加工食品と炎症性腸疾患

前回炎症性腸疾患に関する米国消化器病学会の食事のガイダンスupdateをご紹介いたしましたが,その中でウルトラプロセスフード(UPF)との関係も述べられていました.いろいろなエビデンスがあるのですが,その中の一つをお示ししたいと思います.

ヨーロッパに住む41万人!!を追跡調査したもの(前向きコホート研究と言います)でありますが,その方たちの摂取カロリーのうち,UPFがどのくらい占めていたかで分類し,その結果,UPFとクローン病や潰瘍性大腸炎の発生危険度との関係性を明らかにしたものです(Clin Gastroenterol Hepatol 2023; 21: 1607-1616).

結論は,加工品ではない食べ物(下記のNOVA classificationのGroup1)を多く摂取していた方は明らかにクローン病の発症危険度が低下していたということでした.中でも果物と野菜の摂取が多いとクローン病のリスクは低下するということです.潰瘍性大腸炎の発生とUPFについては明らかではありませんでした.

あれあれ??UPFたくさん食べていてもクローン病や潰瘍性大腸炎の危険性は増えないのかな??なんて思ってしまいますよね.これは研究対象となって追跡された方たちの年齢を認識する必要があります.対象の平均年齢は51.7歳なんですよね.クローン病も潰瘍性大腸炎も発症年齢はもっともっと若年です(おおよそ20歳くらいとご認識ください).若年者で同様の研究を行ったらもっと明らかな結果が出たかもしれません.

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加工品の分類であるNOVA classificationを添付いたします(引用元:ResearchGate).